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げんだいにほんのしそうたいりつ

現代日本の思想対立

戸坂 潤

「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页

青空文庫

を物語る一例になる。

だがこうした運動の組織的な形態は、日本に於ける人民戦線の問題に集中している。フランス人民戦線内閣の成立とスペイン人民戦線内閣に対する反乱とに刺激されたのは勿論であるが、この刺激が縁となって、この問題は広く社会運動と思想界との課題としてかかげられた。最初之を取り上げたものは、評論家では大森義太郎、清沢冽、馬場恒吾、其の他であり、政客としては、労農無産協議会の加藤勘十等である。加藤等はこれに就いて文化人の協力を求めた。社会大衆党は労協一派の無産戦線分裂的行動を承認しないという口実の下に、夫の提案になる形の人民戦線を承認しようとしない。特に麻生、河野、菊川は外見上所謂「人民戦線理論」の否定論者として現われている。だが問題は人民戦線という名目や名称にあるのではなく、現下の日本で必要なのは、無産政党の単一化又は徹底的共同戦線の地盤にあるのだ。で一方苟くも無産政党の分裂を招くような態度は避けねばならぬと見られている。事実上思想的進歩分子が続々として社大党へ入りつつある現象も見受けられる。これは三五年度あたりまでは見られなかった左翼思想界の動向である。