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げんだいにほんのしそうたいりつ

現代日本の思想対立

戸坂 潤

「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页

青空文庫

」に対して盲目になって了ったものもあれば、他方に於ては、日本ファシズムが何であるかに就いての思いつき的な議論ばかりが目に触れるような次第だった。

尤も山川均、大森義太郎、猪俣津南雄、其の他の諸氏による断片的な議論はあっても、一向日本ファシズムの社会的分析が組織的に行なわれていない。恐らくこれは日本資本主義の分析が、現在の事情を組織的に分析し得る程に充分定着されていないせいだろう。処がこの封建的残存物を充用した日本ファシズムこそ、今日の日本の大衆にとって、何より重大な批判の対象であることは言を俟たぬ。

日本ファシズムのこの台頭と共に、所謂自由主義の転落が問題にされ始めたことによって、自由主義論は相当盛んであったと見ていい。一種のオッポチュニストは、自由主義の終焉と議会制度の勢力失墜とを歴史的な必然だとして合理化そうとする。他の者は自由主義はまだ亡びるものではないという。否、これから愈々自由主義の意義が有効になるのだと云う者もいる。この最後のものは河合栄治郎教授の説であって、氏の所謂第三期自由主義は、ブルジョアジーによる強制からの自由を欲する処の理想的な社会主義だというのである。