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げんだいにほんのしそうたいりつ

現代日本の思想対立

戸坂 潤

「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页

青空文庫

ものの一応の内容は知ることが出来よう。とにかくこの自由主義は一定の憲法学説、一定の国体観を意味したのだが、それと同時に極めて近代的な政治観念としての言論の自由をも意味したのだ。だから自由主義排撃なるこの日本ファシズムの進行は、遂に可なり極端な言論抑止と言論統制とを結果した。官製のニュース以外に出た社会的刺激になる報道は総て流言・飛語・浮説・と見做された。一例は『朝日新聞』経済記者のスクープによる東株暴落事件である。之によって記者達は流言浮説をなしたという廉で(社内では事実そう見なくても社会上の名分ではそういうことになる)退職を余儀なくされている。この例でも判るような都下及び全国の有力な新聞紙はその報道の自由を著しく奪われた。そればかりでなく各有力紙は自発的に批判的態度を捨てるようにさえなった。三六年に這入って、新聞記者が集団的に無能化したことは特筆すべき現象だ。却って従来の二流新聞が批判的なニュースによって新しい読者を獲得しつつあるようなわけだ(『報知』・『読売』・の如き)。同盟通信成立のおかげでニュースを単調無味でニュースとしての意義を失ったことは、新聞紙に対する民衆の信頼を甚だしく傷つけた。