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げんだいにほんのしそうたいりつ
現代日本の思想対立
戸坂 潤
「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页
――で今や思想善導教育の慈母のような手は、日本の少青年子女の身辺に迫って来たのである。
国民の身辺に迫りその肉体にまで食い入るこうした様式の教育が目的とする処は、いうまでもなく国民精神の作興であった。だからなぜ世間で左翼を取締る治安維持法と、右翼を取締る不法集団取締法とを別々にしなければならないか、ということの根拠が、ここにあるのであって、それで以てどんな思わぬ弊害を伴おうとも、またどんなに世間の安穏がそれによってかき乱されようとも、とに角大事にすべきものは国民精神であり即ち国粋観念乃至国民思想なのである。
全国青年団は「国民精神作興旗」を戴き、神聖な富士山の頂きには大日章旗が翻るという風景が、至るところに点出される。帝展の第四部工芸品部には日本刀が出品されるようになるし(これは某代議士の建議案に基くものだ)、出口王仁三郎氏は皇道にのっとり皇国の大使命を達成する、と称して、「昭和神聖会」を結成して有数の名士を初め三千余名の参会者を集め得た。某々婦人達は、現在の女子教育が徒らに偏知教育に流れて立派に飯がたけて満足に着物が縫える女が少ないことは、国防上実に遺憾であるとして「婦人技能指導協会」