轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

たまつきばのいちぐう

球突場の一隅

豊島 与志雄

「新小説」1916(大正5)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,111 字 · 29 页

青空文庫

」

それきり一寸言葉がと切れた。そして妙に落ち付きのない沈黙が続いた。

「おやもう乾いてしまったんですね。」とおたかは急に思い出したように松井の着物に触ってみた。それから「おお熱い!」と云いながら立っていって窓を開けた。

何時のまにか暴風雨は止んで、細い雨が降っていた。それでも庭の中には木の葉や紙屑が落ち散って、その上にしとしとと一面に雨が音もなく降濺いでいた。おたかは外をじっと眺めながら、火に熱った頬を冷たい風に吹かした。後れ毛が頸筋に戦いていた。

松井はふり返って女の姿をみた。

「一ゲーム御願いしましょうか。」と彼女は顧みて微笑んだ。

「ああ、」と松井はうっかり答えてしまった。球なんか別に突きたくはなかったのだが。

それでも彼は大変当りがよかった。何だか気が軽々していたのである。

丁度一ゲーム終ろうとする頃表の戸が開いた。林が笑顔をして立っているのが見られた。

おたかは突棒を捨てて立って行った。そして彼の手から帽子を取って釘に掛けた。

「お茶をお一つ。」と彼女は奥の方に呼ばわった。が何の返事もなかったので、彼女はも一度「お茶をお一つですよ。」と大きい声を出した。