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こはくのパイプ
琥珀のパイプ
甲賀 三郎
「新青年」1924(大正13)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,109 字 · 37 页
福島は一耐りもなく恐れ入って仕舞った。
検事は青年記者の明快なる判断に舌を巻きながら、
「いや、松本さん、あなたは恐るべき方じゃ、あなたのような方が我が警察界に入って下されば実に幸いですがなあ。……それでどうでしょう、岩見が忍び込んだ理由、毒薬の入った菓子折を持って来た理由はどうでしょう」
「その点は実は私も判り兼ねています」
青年記者松本はきっぱりした口調で答えた。
* * *
それから二三日して新聞は岩見の捕縛を報じた。彼の白状した所は松本の言と符節を合す如くであった。しかし彼もまた福島の家に忍び込んだ理由については一言も口を開かなかった。
其の後、私は松本に会う機会がなかった。私はまたもとの生活に復り毎日々々戦場のように雑踏する渋谷駅を昇降して、役所に通うのであった。或日、例の如くコツ/\と坂を登って行くと、呼び留められた。見ると松本であった。彼はニコ/\しながら、一寸お聞きしたい事があるから、そこまでつき合って呉れと云うので、伴われて、玉川電車の楼上の食堂に入った。
「岩見が捕まったそうですね」私は口を開いた。
「とうとう捕まったそうですよ」