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こはくのパイプ
琥珀のパイプ
甲賀 三郎
「新青年」1924(大正13)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,109 字 · 37 页
もうこの上は軍備縮小あるのみですよ」
私は青年のこの大議論を、うと/\と暴風雨の音とチャンポンに聞きながら、居眠りをしていた。所が突然青木の大きな声が聞えたのでスッカリ眼を醒まされた。
「いや、どうあっても夜警団を廃する事は出来ない。殊にじゃ善悪は兎に角、どの家でも犠牲を払って夜警を勤めているのに、福島と云う奴は怪しからん奴じゃ。あんな奴の家は焼き払って仕舞うがよい」
大佐は夜警問題で又松本にやり込められたのであろう。その余沫を、いつも彼の嘲罵の的になっている福島と云う青木の家と丁度背中合せで、近頃新築した可成り大きい家の主人に向けたものらしかった。
私は吃驚して、喧嘩にでもなれば仲裁に出ようかと思っていると、松本の方で黙って仕舞ったので何事も起らなかった。
そして一時三十五分過ぎ、二人は私を小屋に残して最後の巡回に出かけた。暴風雨は正に絶頂に達したかと思われた。
一時五十分――なぜこんなに精確に時間を覚えているかと云うと、小屋には時計があって、外に仕事がないので何かあるときっと時計をみるからである――拍子木を叩きながら松本一人が小屋に帰って来た。