轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
びわでん
琵琶伝
泉 鏡花
「国民之友」1896(明治29)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,081 字 · 24 页
何の、ちょっとぐらい顔を見せたからって、見たからって、お前、この夜中だもの、ね、お前この夜中だもの、旦那に知れッこはありゃしないよ。でもそれでも料簡がならなけりゃお前でも可い、お前でも可いからね、実はあの隠れ忍んで、ようよう拵えたこの召食事をそっと届けて来ておくれ、よ、後生だよ。私に一目逢おうとってその位に辛抱遊ばす、それを私の身になっちゃあ、ま、どんなだろうとお思いだ。え、後生だからさ、もう、私ゃ居ても、起っても、居られやしないよ。後生だからさ、ちょっと届けて来ておくれなね。」
伝内はただ頭を掉るのみ。
「何を謂わッしても駄目なこんだ。そりゃ、は、とても駄目でござる。こんなことがあろうと思わっしゃればこそ、旦那様が扶持い着けて、お前様の番をさして置かっしゃるだ。」
お通はいとも切なき声にて、
「さ、さ、そのことは聞えたけれど……ああ、何といって頼みようもない。一層お前、わ、私の眼を潰しておくれ、そうしたら顔を見る憂慮もあるまいから。」
「そりゃ不可えだ。何でも、は、お前様に気を着けて、蚤にもささせるなという、おっしゃりつけだアもの。眼を潰すなんてあてごともない。