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びわこのみず
琵琶湖の水
中谷 宇吉郎
「文藝春秋」1947(昭和22)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,773 字 · 20 页
だから一桁の割算のできないのは、数学の教育が悪いのではなく、修身の教育に罪があるのである。
念を入れるために、琵琶湖からの蒸発量を考えてみよう。綜合でなければ絶対駄目だというのは、政治家たちである。ところで昨年はその主張どおりの綜合開発であった。しかもその予算二億七千万円というのは、昨年の円価にしてみたら、相当莫大な金額で、恐らく一般国民の想像以上の額であろう。問題はその予算で為された仕事の量と質にある。残念ながらわれわれには、その内容が殆んどわからない。六万町歩とか十万町歩とか開墾して、何万戸かの戦災家族を入植させるという話があったが、それなどが主な事業ではなかったかと思われる。もしそうだとしたら、綜合開発というものは、たいへんなものである。
『百姓記』の著者吉田氏の書かれたものによると、北海道の農耕地が一番広かったのは、昭和十二年であって、水田と畑との合計が約九十八万町歩という統計が出ている。それが戦争中労力不足等の原因でだんだん減って、北海道庁の農業生産計画に現われた耕地面積の統計では、昭和二十年度には、約七十六万町歩になっている。もしこの統計が正しいものとすると、二十二万町歩減っていることになる。