轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
せいとしとのきろく
生と死との記録
豊島 与志雄
「帝国文学」1918(大正7)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,961 字 · 39 页
ややあって、A氏が見舞って来られた。S子さんがまた間もなく来た。
「御診察がすんだら、一寸帰って来て下さるようにとのことでした。」とS子さんは芳子からの言葉を私に伝えた。
九時にU氏の回診があった。私はもう何にも聞かなかった。診察が終ると私は帰るつもりで廊下に出た。
「お分りでもありましょうが、あの通りの容態ですから、どうにも仕方がありませんね。今晩あたり危険かも知れません。午後からはついていられた方がいいでしょう。」
私は少しも驚かなかった。そういう言葉も私の心の中に何の響きをも立てなかった。私はただ感謝の頭を下げた。
私は駆けるようにして家に帰った。T君が来ていてくれた。
私はすぐに八畳の座敷の方へはいった。芳子が寝たままじっと私の顔を見つめた。私は芳子の側の小さな蒲団の中を覗いてみた。と、私ははっとした。堯とそっくりの赤ん坊の顔が其処に在った。すやすや眠っていた。
私は芳子の枕頭に坐った。蒲団の外に差出した芳子の手を私は強く握った。力強い何とも云いようの無い涙が出て来た。
私達は暫く黙っていた。
「どうだった。苦しかった?」と私は云った。
「ええ。