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しょうがいのかきね

生涯の垣根

室生 犀星

「新潮」1953(昭和28)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,267 字 · 22 页

青空文庫

こわしていることに、眼がとどまった。しかも茎も幹も、うそのような旺盛さが、彼のしたことの過ちであることを教えた。

「しまった、こんな物を植えるんじゃなかった。」

「旦那、こいつはね、遠見のものですよ。」

彼ははなれて民さんのいう遠見で引立つことを知った。芭蕉は庭の奥にほとんど思いがけない場所に、捨て置きに植えるよりほかはなかった。彼はいったい何を考えていたのだ、何を芭蕉の森からさぐり当てようとしていたのだ、それから先に聞くべきであった。彼は答えることを知らなかった。

「では、抜きますか。」

「君さえ我慢してくれればいいんだ。」

「抜いてしまいましょう。」

民さんは彼の頭にあることをうまく、言いあててくれた。あれほど六十日の間苦心してあつめた芭蕉を、抜いてしまうために彼は民さんにその言葉をいいあらわすことには、さすがに言うべき度胸がなかった。人間の労力というものが応えてくるのだ、二三日後にそれを言ってもいまはそんなことは言えない、幾ら何でもまるでめちゃくちゃみたいなことは、らくにいえるものではない、僕はね、こんどは少しの疑いもなく、うまく嵌まると思いこんでやったのだ、だが、まるでようすが違ってしまった、君はどうか、彼は民さんの返事を待ったが、民さんは居処を嫌われたんです、こいつはすみの方にいた方がよかったのですといっ