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しょうがいのかきね
生涯の垣根
室生 犀星
「新潮」1953(昭和28)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,267 字 · 22 页
赤土の禿山や谷をそのままあしらった松の溜場には、姿を生かしてどんな松でも、おもうように選ぶことができていた。永年にわたる松のこしらえはどの松を見ても、枝をためされ撥と搦み竹をはさみこんで、苦しげにしかし亭亭として聳えていた。ある松は何十年もはりがねでしばられたまま、伸びればしんを折られ、幹ばかり太るようなしつけで生き続けていた。ある松はうつ向きに捩じ伏せられ、起き上ろうとすればいやでも地上を這うような形のままで、勢いをためされていた、しかもある松はいきなり倒れかかるような位置をつづけ、そのなりで固まったふしぎな形相で小さい谷間から、ぶら下っていた。どれにも、人間の手でいわゆる面白いかたちを折檻されながら、かたちを作っているのだ、それらの松はすべて根元に二人、さきに二人というように人夫四人がかりでないと、搬出できないところの背丈は三四間くらいあった。ある松はわずか六尺しか丈はなかったが、侏儒のようにいじめつくされた枝と幹ばかりが太くなり、不具者のような形態が崎嶇として枝をまじえていた。こんな松がおもしろいという褒め言葉にあずかるのだ。よくいじめた松がよく売られるし市価がつくのだ。