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しょうがいのかきね
生涯の垣根
室生 犀星
「新潮」1953(昭和28)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,267 字 · 22 页
」
「へえ。」
「垣根はいまやりかえると僕の生きている間のしごとでは、この垣根をつくるのが大方お終いの仕事らしいんだ、わかるね、このお終いのしごとをあの男にやらせたいのだ。」
「なるほど。」
「垣根は何年持つかね。」
「何の垣根です。」
「胡麻穂だ。」
「七八年はもちますね。」
「そしたらこれは最後の垣根になるな、もう二度はやりかえなくとも、よいわけじゃないか。」
「そんな気の弱いことを仰って、……」
「いや正直なところそうなんだ、そこで民さんとやってもらいたい意味もわかるだろう。」
「わかります。」
「庭でも家でも、はじめに働いてくれた人はわすられないものだよ、そこで、君が民さんをたずね、どれだけ費るか請負にしてもらいたい。」
「はい、きっと民さんも喜ぶことでしょう。」
「すぐかかってもいいんだ。材料の金は先に渡すことにしよう。」
「そうして頂けば明日にもかかることが出来ます。旦那は妙なお人だね。」
「僕は妙な人間なんだ。」
胡麻穂というのは黒竹の小枝の葉をふるい、それを揃えて仕上げる垣根だった。仕上りはすだれ文様になり、どうぶちは青竹でおさえ、垣の上は割竹で笠を作り棕梠縄で編みこんだものである。