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しょうがいのかきね

生涯の垣根

室生 犀星

「新潮」1953(昭和28)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,267 字 · 22 页

青空文庫

若い男はまたていねいに彼に挨拶をした。

「こいつは名をつけていただいた二番目の秋彦です。」

「秋彦君だったか、どうもそうらしいと思ったが、……」

脚の長いおやじに似た秋彦は、また、鄭重に頭を下げた。民さんと村さんは用件の話が済むと、したしい背後姿を見せて戻って行った。彼は飲みさしの手がついているけれどと言って、和製のぶどう酒を一本秋彦の手に渡した。こういうときは、おやじが受け取らないで、この場合、従者である息子の方が受け取るものであることも、秋彦はこころえているらしかった。庭はもう闇が亘っていたので、十何年ぶりかで庭を見る民さんは、すぐには庭のもようについては何もいわなかった。

翌朝、民さんはしごとにかかる前に、おぼえのある彼処此処に眼にとめていたが、かれの最初の言ったことは庭は十五年前とはずっとよくなった、どこにもみがきがかかっていて、どこでも眼が遊べるようになっていますと、えらいことを言った。きっと、これくらいには、大せつにまもられてはいると思ったが、こりゃまるで、はこいりむすめですねと、久しぶりでかれは奇矯の言葉を弄して見せた。

「しかし旦那、まるで松は半分伐ってしまいましたね。