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せいさんをもくひょうとするかがく

生産を目標とする科学

戸坂 潤

――再三「科学と技術」とについて――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,185 字 · 7 页

青空文庫

と云うのは、この解答を予想しながらかの設問を提起した側の科学史家が、最も誘惑を感じるのは、何となく科学を技術の手段のように見ようという態度である。科学の目的は認識であり、そして認識は実践と統一されているという。それは正にその通りでいい。しかしこの両者の統一なるものを十分根本的に分解するだけの論理機関が整備されていない処から、往々科学は実践の一手段のようにも考えられ。やがて科学は技術への手段であるという風に考えられて来易いのである。この傾向は相当に誘惑的なのである。

こうした、云わば、技術のための科学は、忽ちその対立物として時にはそれへの反感の結晶として各種の、科学のための科学、を産み出す。ヒューマニズムという便利な足場を利用した人性のための科学も、往々実はここの科学のための科学にぞくする。例えば最近の科学者伝文学や科学者伝映画の多くは科学を技術へ持って行く代りにヒューマニズムへ持って行く。或いは技術を通らずに文化へ持って行く。この傾きも亦、文化的に相当誘惑的なものだ。

前者は一種の卑近な功利主義、一種の上つらの実行主義の誘惑である。之に対して後者は、一種軽薄な文化主義の誘惑である。