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せいさんぶんがくのもんだい

生産文学の問題

宮本 百合子

文学に求められているもの

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,453 字 · 5 页

青空文庫

二ヵ月ばかり前の『新潮』に同じ作者の「伊豆日記」というのがあった。伊豆の温泉での文壇交友日記のようなものであるが、その中に、「プチット・ファアデットを読む。この小説は自分には不満だ」とあり、その不満の理由として、ジョルジュ・サンドが、この作中でカイヨウという農夫が若者ランドリイに牛の扱い方をどういう風にするか自分でやって見せたとだけしか書いていず、そのどういう風にするかを実際に描き出していない点をあげている。岩波文庫では「愛の妖精」という題で訳されているこの物語の、条件的ではあるが否めない全体の美しさ、不仕合わせを、そうでないものにかえてゆくファアデットの女らしく而も健気で人生的な気力とそれを語る作者の情熱の味いを知っている人々にとって、正直なところ島木氏の不満とその不満における自信は、一つの唐突さと滑稽とを感じさせるものではなかろうか。

一つの例にすぎないが一作家における以上のような、現実からの作品の創り出しかた及び、文学作品の世界としての現実の受け入れかたを見較べると、おのずから再び文学とは何であろうかというところ迄立ちかえって、考えさせられるものがある。