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いなかふうなヒューモレスク

田舎風なヒューモレスク

宮本 百合子

「写真報知」1925(大正14)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,790 字 · 16 页

青空文庫

おしまは、時々きいという名のその嫁をひどくしかるように成った。すると、勇吉は、炉ばたでちびちび酒を飲みながら、

「そげえに若えもん叱るでねえよ、今に何でもはあ、ちゃんちゃんやるようになる、おきいはねんねだごんだ」

「何がねんねだ! ひとが聞いたらふき出すっぺえ。ねんね嫁け! お前」

きいはつらく、涙ぐんで行儀よく手をついて、

「勘忍してくんさんしょ」

とあやまる。しおらしいのが、しまに決して快くなかった。

その年の冬のことであった。勇吉の近所で青年団の集まりがあった。村の暮しは単調で、冬はなお更ものうい。よい機会さえあれば、男はみな酒を飲みたがる。青年団の集まりなど申し分ない口実だ。多勢集まり、けんかはしない約束をして飲み始めた。ああ、実際村の者は酔うとよくけんかをするのです、とてもよくやる。けれども、青年団員という文明的な名を持つ名誉上、けんかはすまい話し合が出来た。

そして、むつまじく飲んでいるうちに、何だか戸外が騒々しくなって来た。日が沈むと、村の往還は人通りも絶える。広く、寒く、わびしい暗やみの一町毎にぼんやり燈る十燭の街燈の上で電線が陰気にブムブムブムとうなっている。