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こうしゅうぐんないようかいじけんとりしらべほうこく

甲州郡内妖怪事件取り調べ報告

井上 円了

「東京朝日新聞」1894(明治27)年5月8、9、11、12日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,934 字 · 18 页

青空文庫

かつ、中村氏のいえるところによるに、怪声の談話は常にかの女子の思想と一致し、かの女子の知らざることは怪声も知らず。また、もし怪声の談話中に解し難きところあらば、これをかの女子に問うに、その説明を得という。これによりてこれをみれば、怪声はかの女子の所為なること、いよいよ明らかなり。

第六に、怪声とかの女子の談話とは、決して同時に発することあたわず、必ず相前後すという。これまた、怪声の原因、かの女子にある一証というべし。

第七に、かの怪声が常にかの女子の身辺に伴い、かの女子の至る所に限りてこれを聞くは、すなわち女子の所為たる証拠にあらずや。加うるに、かの女子が大目村にある間は、そのゆく所においてこれを聞くことを得るも、実家に帰りしとき駒橋村においては、さらにかかる怪事なかりきという。これによりてこれをみれば、かの女子が養家を去りて実家に帰らんと望む情切なるあまり、故意にかかる怪事をなすものたること、ほとんど疑うべからず。また、杉本氏の談話によるに、かつてかの怪声が、「養女『とく』に機を織らしむることあらば、われ必ずこれを断ちきらん」と告げしことありしが、果たしてそののち数回引き続き、「とく」