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こうしゅうちんぶたい
甲州鎮撫隊
国枝 史郎
「講談倶楽部」1938(昭和13)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,891 字 · 28 页
と、総司は、さも驚いたように云った。
「矢張りお眠ったままで『済まん、細木永之丞君、命令だったからじゃ、済まん』と、仰有ったじゃアありませんか」
「ふうん」
と総司は、いよいよ驚いたように、
「さようなこと申しましたかな。ふうん。……いや、心に蟠となっていることは、つい眠った時などに出るものと見えますのう。……細木永之丞というのは、わしの親友でな、同じ新選組の隊士なのじゃが、故あって、わしが討取った男じゃ」
「まア、どうして?……ご親友の上に、同じ新選組の同士を?」
「近藤殿の命令だったので……」
「近藤様にしてからが、同士の方を……」
「いや、規律に反けば、同士であろうと隊士であろうと、斬って捨てねば……細木ばかりでなく、同じ隊士でも、幾人となく斬られたものじゃ。……近藤殿の以前の隊長、芹沢鴨殿でさえ――尤もこれは、何者に殺されたか不明ということにはなっているが、真実は、土方殿が、近藤先生の命令によって、壬生の営所で、深夜寝首を掻かれたくらいで。……だがわしは細木を斬るのは厭だったよ。永之丞は可い男でのう、気象もさっぱりしていたし、美男だったし……尤も夫れだから女に愛されて、その為め再々規律に反き、池田屋斬込みの大事の際にも、とうとう参加しなかった。