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おとこぎらい

男ぎらい

豊島 与志雄

「苦楽」1949(昭和24)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,878 字 · 18 页

青空文庫

くさい息がかかってるようでいやでした。私がもじもじしていると、井上さんは私にとりあわず、ちょっぴり髭のある肥った顔を、姐さんの方へ向けて、ほかの話を始めるのです。

私はみんなからばかにされてるようでもあり、そっと目をつけられてるようでもあります。男ってどうしてこんなに厚かましく図々しいのでしょう。

この気持ち、姐さんには分らないようです。私に代って姐さんが、倉光さんにも井上さんにもお礼を言ってくれます。

町のお祭りの晩には、特別に酒がたくさん用意されて、誰にでも飲ませることになりました。表には、提灯と桃の花が吊してあります。忙しくて、私はだいぶ疲れました。井上さんが来ていて、姐さんは二階にあがってることが多いので、店の方は私とお島さんと二人きりです。

もうだいぶ遅くなって、五六人の男がはいって来ました。ずいぶん酔ってるようでした。

「倉光君は来ていないか。」

「いらっしゃいませんよ。」とお島さんが応対しています。

なんだかごたごたして、その人たちは卓子に就き、安物のウイスキーを飲みはじめました。

「倉光君はどうした。隠してるんじゃあるまいね。」

お島さんはもう相手になりません。