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ちょうないのにてんさい

町内の二天才

坂口 安吾

「キング 第二九巻第一四号」1953(昭和28)年12月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,836 字 · 26 页

青空文庫

それにはランニングが第一だと語っているな。日に五哩も駈けてるぞ。それも遊び半分に駈けてるんじゃなくて、わざと坂道の多い難路を選んでアゴをだすほど猛烈に力走して腰を鍛えているのだな。キサマも、それをやらなくちゃアいけない。オレが自転車でついてやるから、あすの朝からはじめろ」

魚屋だから、朝は早い。早朝に長助を叩き起してランニングにつれだす。自分は自転車で汗水たらして坂道をこぐ。早朝の路上にはこれに似た人々がすれちがうが、それは人間をつれて走らせてる人々じゃなくて、犬をつれてるところがちがっている。

「投手の身体をつくるには、マキ割りなぞが大変よろしいと書かれているな。お前は身体のできるサカリだから、こいつをやらなくちゃアいけない」

わざわざ丸木を買いこんで、夕方からマキ割りをやらせる。裏庭にはマキが山とつみあげられて、表は魚屋、裏はマキ屋のようである。

これを見て、よろこんだのは隣家の床屋の源サンである。客のヒゲを当りながら、

「隣の魚屋はとうとう頭へきましたよ。そう云えば、小学校の時から、どうも、おかしいな、と思うことがありましたよ」

「小学校が一しょかい」