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ぎもんのきんかい
疑問の金塊
海野 十三
「キング」1934(昭和9)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,600 字 · 32 页
全部で丁度十枚の金貨が出てきたわけだった。
「これアすくなくとも四五百円にはなる代物だ」と折井刑事は目を瞠って、「仙太の持ち物としては、たしかに異状有りだネ、山城君」
「もっと持っていたんではないかネ」と山城は眼をギロリと光らせた。「仙太のやつ、ここで強奪に遭ったのじゃないか。だから金貨が道に滾れている……」
「強奪に遭ったのなら、なぜ金貨が滾れ残っているのだ。それにわれわれが駈けつけたときにも、別に金貨を探しているような人影も見えなかった」
「そりゃ君、仙太を殺したからさ。……いいかネ。仙太は数人のギャングに取り囲まれたのだ。前にいた奴が、仙太の握っている金貨を奪おうとした。取られまいと思って格闘するうちに、手から金貨がバラバラと転がったのさ。手強いと見て、背後にいた仲間が、ピストルをぶっ放したというわけだ。前にいた奴は仙太を殺すつもりはなかった。仙太の仆れたのに駭いて、あとの金貨は放棄して、逸早く逃げだしたのだ。見つかっちゃ大変というのでネ」
「これは可笑しい」と折井刑事は叫んだ。「第一、格闘だといっても、その証拠がないよ。入乱れた靴の跡も無しさ。第二に、前から強迫しているのに、背後から撃ったのでは、前にいる同じ仲間のやつに、ピストルが当りゃしないかネ。