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ぎもんのきんかい

疑問の金塊

海野 十三

「キング」1934(昭和9)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,600 字 · 32 页

青空文庫

「うむ。さあ、どうする?」

刑事は私の処置をどうしたものかと躊った。

「逃げませんよ、私ア」と言下に応えた。「一緒に行ったげましょう」

「お前も行くか。どうかそうして呉れ!」

刑事はホッと溜息をついた。

私はわざと先頭になって駈けだした。刑事も横合から泳ぐように力走した。

真暗な、広い空地に出た。向うにポツンと二階建らしい倉庫のようなものが立っているが、灯もない真黒な建物だ。悲鳴はそのあたりから起ったように思われる。私は前面を注視しながら走った。

沈黙の倉庫の前まで来ると、向うに火の消えた街灯の柱が何事か云いたげに立っていた。その下に、長々と横たわっている黒い物があった。

「旦那方。あすこに、一件らしいのが見えますぜ」

刑事は私の方に身体を擦りよせてきた。

「うん。伸びているようだナ。それッ」

三人はバラバラと、その方に近づいた。刑事の手から、懐中電灯の光がパッと流れだした。その光は直ちに、地上に伏している怪しい男の姿を捉えた。雨あがりの軟泥の路面に、青白い右腕がニューッと伸びていて、一面に黒い泥がなすりついている――と思ったら、それは真赤な血痕だった。