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はっくつしたびじょ

発掘した美女

坂口 安吾

「講談倶楽部 第五巻第四号」1953(昭和28)年11月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,882 字 · 29 页

青空文庫

ジャバ。ブラジル」

「ブラジルかア。フン」

「ブラジルだけ、知ってたらしいわね」

「ジャバも知ってるよ。リオグランデデルノルデ、知ってるか。知らねえだろ」

「生意気な子ね。あんた、日本の子? アイノコでしょう」

「オレの村は日本一の村だ」

「もう、いいから、帰ってちょうだい」

たまりかねて、御帰館ねがったのである。少年は悠々と立ち上って、

「ジャガ芋、よこせ」

盆ごと持ってガイセンしてしまった。初音サンは毒気をぬかれてしまったらしい。

「田舎の子供ッて、みんなあんなかしら」

「まさかねえ」

「世間知らずのくせに、全然負けぎらいね。自分の村が日本の中心だと思ってるらしいわね。にくらしい」

「世間知らずと思えば腹も立ちませんよ」

「腹が立つわ。あれは、ほんとにあるのかしら。リオ、何とか、ノル、デル、ノル」

「リオグランデデルノルデ。アメリカとメキシコ国境を流れてる河の名ですよ」

「あら、そうお。アパッチくさい名だと思った。あなたまで変なこと知ってるわね」

八ツ当りであった。一夫は日本一の村の娘にとらわれてしまったらしく、いつまでも戻ってこない。時々、ゲラゲラとバカ笑いの声がきこえてくるのである。