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はっくつしたびじょ

発掘した美女

坂口 安吾

「講談倶楽部 第五巻第四号」1953(昭和28)年11月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,882 字 · 29 页

青空文庫

「なんて変テコな幻想だろう。たぶん大自然が与える幻想だろう」

まことになつかしい大自然。実に完全な、おどろくべき暗黒であった。そして身にせまる岩と清水の気配の厳しさ。

「お待ちどうさま」

初音サンが戻ってきた。

「まッくらで、淋しかったでしょう」

「ここでこのままミイラになりそうな気持でしたよ」

「これが本当のクラヤミね。そして、クラヤミがこんな生命力にあふれているなんて、すばらしいわ。人間の死後がこうかしら。私ね。ふッと運命ということを考えたわよ」

お握りジイサンは先に立って降りて行った。初音サンは梅玉堂をひきとめて、ジッと山間の中に立ち止っていた。そして、ささやいた。

「私、あなたと結婚するわ。もうダダはこねません。あなたが大好きよ。このホラ穴と同じように。接吻して」

ワンラであった。梅玉堂にとっては、うれしい生きたミイラの一瞬であったのだ。偉大なる大自然よ。

妖精の正体

その日はもうそれ以上歩くことができなかった。そして他の古蹟がここよりも難路とあっては、梅玉堂も初音サンすらも、これ以上大自然に親しむ必要を感じなくなってしまったのである。

二人が宿屋へ戻って完全にノビているところへ、バアサンがやってきた。