轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しろいみち

白い道

徳永 直

「新潮」1948(昭和23)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,169 字 · 36 页

青空文庫

「ばかづらどもが――」

三吉がポスターをかいている板の間へ、高坂が、扇子をパチッ、パチッと鳴らせながらでてきた。むかし細川藩の国家老とか何とかいう家柄をじまんにして、高い背に黄麻の単衣をきちんときている。椅子をひきずってきて腰かけながら、まだいっていたが、

「なんだ、青井さ、一人か」

と、気がついたふうに、それから廊下をへだてた、まだ夜業をしている工場の方へ、大声でどなった。

「安雄ッ、武ちゃん――」

よばれた二人の文選工が、まだよごれ手のまま、ボンヤリはいってくると、

「お前たち、もう今夜はいいから、ポスターをてつだいなさい」

と、あごでしゃくった。武ちゃんも、安雄も三吉とは知っている組合員であったが、主人の方にだけ気をとられている。

「ずッと、家へもどっていい、夜業は三時間につけとくから」

のりバケツとポスターの束をかかえて、外へでるとき、主人にそういわれると、二人はていねいにおじぎしている。

「オーイ」

古藤の下宿の下を通るとき、三吉はどなってみたが返事がなかった。あかるい二階の障子窓から、マンドリンをひっかきながら、外国語の歌をうたっている古藤の声や、福原や、浅川のわらい声が、ずッとちがった、遠くの世界からのようにきこえていた。