轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しらねのふもと

白峰の麓

大下 藤次郎

「みずゑ」1910(明治43)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,238 字 · 45 页

青空文庫

二十丁も戻って初めの沢近く来た時、ふと前面を見ると、例の落葉松の深林が背後から午後の日をうけてパッと輝いている。根元の方にも日の光は漏れて、幹は黒々と、葉は淡きバアントシーナを塗ったように、琥珀色に透明して、極めて美しい。画きたい画きたいと、一度は三脚の紐を解いたが、帰り道の崖崩れを思うと、何となく急き立てられるようで、終に筆を採らずにしまった。

危うい崖道も、来た時よりはらくに過ぎて、湯川近くに二日前の写生を続けた。二日前は曇った日で、今日は晴れている。調子は異うが、日が傾いて谷は暗く、水色も同じに見えるので少し無理だが仕上げることにした。

この日はかなり長い道を歩いた、膝の関節が痛い。

十一

下湯島の猟師に、大村晃平、中村宗平というのがある。烏水氏らの案内をして、幾度となく白峰の奥へ往った人たちだ。晃平は中風病で寝ている。宗平は山仕事が忙しい。宗平の弟に宗忠というのはこの夏山岳会の人たちの赤石縦走を試みた時、人夫として同行したという。その男は職業は大工でいま新潟の仕事に来ている。いろいろ山の話をきくと、下湯島の対岸を上ること一里半ほどで、六万平というところからは、井川の山々(白峰連嶺)、またその先の赤石の方までもよく見えるという。