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はくち
白痴
「新潮 第四十三巻第六号」1946(昭和21)年6月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,985 字 · 45 页
考えることもなくなっていた。
夜が白んできたら、女を起して焼跡の方には見向きもせず、ともかくねぐらを探して、なるべく遠い停車場をめざして歩きだすことにしようと伊沢は考えていた。電車や汽車は動くだろうか。停車場の周囲の枕木の垣根にもたれて休んでいるとき、今朝は果して空が晴れて、俺と俺の隣に並んだ豚の背中に太陽の光がそそぐだろうかと伊沢は考えていた。あまり今朝が寒すぎるからであった。