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しろばなのあさがお
白花の朝顔
泉 鏡花
「週刊朝日 第二十一ノ十六号(春季特別號)」1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,880 字 · 62 页
――だから断ったから差支えないでしょう。」
「ええ、断りましたわ、誰があんな――あんな男に世話しようなんのって、私、あなたが、私あなたが。」
「そりゃ無理だ、そりゃ無理だ、お洲美さん、あなたが、あの男を好きだか、嫌いだか、私がそれを知るもんですか。」
「だって、だって、ちっとでも、私を、私を思って下すったら、怪我にもあんな、あんな奴に。」
「無理だ、そりゃ乱暴だ。」
「ええ、無理です、乱暴です。だから、私、すぐそのあとで、それまで人をかえ、手をかえ、話があるのを断っていた――よござんすか――私も、あなたが大嫌いな、一番嫌いな、何より好かない、此家へ縁付いてしまったんです。ほ、ほ、ほ。」
太白の糸を噛んだように、白く笑って、
「乱暴でしょう。乱暴、乱暴だけど、あの一番嫌いな人を世話しようとした、その口惜さに、世話しようとした人の、あなたですよ、あなたの一番嫌いな男の許へ縁についた。無理です、乱暴です。乱暴ですけど、あなたは、あなただって、そのくらいな著作をなさるじゃありませんか。」
「何にもいわない。――もう、朝顔の、ま、枕の時から、一言もないのです。私は坊主にでもなりたい。