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しろへびのし
白蛇の死
海野 十三
「新青年」博文館、1929(昭和4)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,881 字 · 24 页
お由の死亡時刻は解剖の結果、午前一時前後ということになっている。して見れば時間の点からいって、喜多公は親分の方より嫌疑が薄くなる訳で、一先ず彼も釈放されることになった。
警察では他に誰も容疑者として拘引しておらず、この事件はわりに無雑作に放置されている如く見えていたが、其の実捜索は八方に拡がっていて、少しでも怪しいと睨んだ者には必ず刑事が尾行していたのである。然しお由の死後七日までは、これぞと思う手懸りは何等得ることが出来ずにいた。
すると八日目になって、初めて新しい二つの報告が集って来た。一つは、あの日以来吉蔵の店では冷蔵庫へ入れる氷を五貫目ずつ余計使っている事実、一つは、あの日を境にして失踪した者の一覧表の中から、山名国太郎という大学生がお由に似た年頃の婦人を自室に引き入れている所を一二度見た者があるという報告であった。
お由事件の為に特設された捜索本部は、この二つの報告に色めき立って、主任は直ちに吉蔵の店へ警察を向ける一方、山名国太郎の行方を八方に捜索させた。
吉蔵は警官の臨検に大小三個の冷蔵庫を直ぐ開いて見せた上、氷の消費量増加については、