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しらがこぞう

白髪小僧

杉山 萠円

「白髪小僧」誠文堂、1922(大正11)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,770 字 · 194 页

青空文庫

そしてなおも弱り切った声で――

「実は私は御両親に今日只今まで、固く御隠し申していた事が御座います。けれども最早斯様になりましては到底御隠し申す訳に参りませぬ故、すっかりお話し致します」

と申しましたが、これから濃紅姫が王様をお慕い申し上げていた事を初めとして、今度王様が御自身で濃紅姫を妃に迎える約束を遊ばしながら、又御自身でその約束をお破り遊ばした上に、今から一週間の後に他の女と一所にお目見得に出せと仰せられた事、自分は余りの切なさに夢中になって「瞬」に乗って駈け出した事、それからその夜の内に多留美の湖の傍まで行って帰りがけ、只ある橋の上で馬が躓いたために落ちて怪我をした事など、有る事無い事、紅矢から聞いた話に添えて、詳しく話して聞かせました。

両親は聞く事毎に驚く事ばかりでした。そうして事情はすっかり解かりましたが、その中で濃紅姫を他の女と一所にお目見得に出す事だけはあまりに情ない浅ましい事で、殊に都合よく御妃になる事が出来れば兎も角も、もし間違って王様の御気に入らないような事があると、これ位恥辱な事はないからと云って、両親は容易く承知致しませんでした。