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しらがこぞう

白髪小僧

杉山 萠円

「白髪小僧」誠文堂、1922(大正11)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,770 字 · 194 页

青空文庫

妾はそれから女王になるためにいろいろな悪い事を致しました。

青眼先生。この間紅矢様が大怪我をなすった時、初めに先生が御覧になった紅矢様は、本当の紅矢様では御座いませぬ。妾が紅矢様の馬と着物を詐欺り取って、紅矢様に化けて来ていたので御座います。それから二度目の時は、妾が『瞬』に乗って、紅矢様のお帰り途に押しかけて、出会い頭に馬を乗りかけて怪我をさせましたので、妾はその死骸を先生の御門の処まで持って来て、放り出して逃げて行ったので御座います。

妾はそれから又もや紅木大臣のお邸敷へ、騒ぎに紛れて忍び入って、美紅姫の室に這入りました。見ると美紅姫はどうした訳か、気絶して床の上に倒れたまま、誰も気付かずにおります。妾はよい都合と喜びまして、兼ねてから髪毛の中に隠しておいた宝蛇を、美紅姫の懐に押し込みました。これが今のように、美紅と美留藻と一所になってわからなくなるはじめとは、その時夢にも思い当りませんでした。

宝蛇が美紅姫の胸から血を吸い初めますと、不思議や妾は自分の身体の血が消え失せるように思いまして、急に眼が眩んで立っている事が出来ずに、床の上にたおれました。