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しらがこぞう
白髪小僧
杉山 萠円
「白髪小僧」誠文堂、1922(大正11)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,770 字 · 194 页
広い野原の恐ろしさ。石の野原の凄じさ。
折角生れて来たものの、話し相手も何も無い、
淋しさつらさ情なさ。男はとうとう焦れ出して、
一体誰がこの俺を、こんな野原に生み出した。
一体誰がこの俺を、こんな荒野に連れて来た。
寧そ眠っているならば、死ぬまで眠っているならば、
こんな淋しい情ない、つらい思いはしまいもの。
一体誰がこの俺を、ドシンとなぐって起したと、
ぬっくとばかり立ち上り、声を限りに怒鳴ったが、
答えるものは山彦の、野末に渡る声ばかり。
青い空には雲が湧く。けれども自分は只一人。
黒い海には波が立つ。けれども自分は只一人。
男はとうとう怒り出し、吾れと吾が髪引掴み、
赤く血走る眼を挙げて、遠い青空睨みつつ、
大声揚げて泣きながら、天も響けと罵った。
大空も聞け土も聞け、山も野も聞け海も聞け。
目に見えるもの見えぬ者、あらゆる者よ皆聞け。
俺は死ぬのだ今直ぐに、この場で死んで了うのだ。
われと自分の淋しさに、天地を怨んで死ぬるのだ。
こんな淋しい恐ろしい、所に長く生きていて、
悲しい思いするよりは、死んでしまった方が好い。
こんな眼玉があったとて、面白いもの見なければ、