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しらがこぞう
白髪小僧
杉山 萠円
「白髪小僧」誠文堂、1922(大正11)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,770 字 · 194 页
最早俺は貴様の云う事を聞かぬ。俺はこの鸚鵡から、世界中の事を聞かせてもらった。又この鏡から、世界中の事を見せてもらった。御蔭で大層利口になった。こんな嬉しい事はない。こんな有り難い事はない。今まで俺に何事も知らせまい知らせまいとしていた貴様は、大不忠者だぞ。これ兵隊共、此奴を王宮の外に抓み出せ。以後俺が許す迄は王宮に来る事は相成らぬぞ」
と云いながら扉をドシンと閉めました。
青眼は忽ちむっくと起き上って、今閉まったばかりの扉に取り付いて男泣きに泣き出しました。
青眼は藍丸王のこのように荒々しい、狂気じみた姿を見たのはこれが初めてでした。又このように無慈悲な言葉で、嘲けられ罵しられた事も初めてでした。あまりの事に扉に取り付いて、流るる涙を拭いもあえず――
「王様。王様。王様は気でもお狂い遊ばしましたか。この間まであのように優しく、あのように気高くておいで遊ばした王様が、どうしてそのようなお情ない浅ましい御心にお変り遊ばしたので御座いましょう。これと申すもあの鏡と鸚鵡、二ツの魔物が、王様の御心を眩ましたからで御座いましょう。何卒、王様。御心を御静め遊ばして私の申す事を御用い遊ばして……」