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ひゃくしょうやのすけのはなし

百姓弥之助の話

中里 介山

01 第一冊 植民地の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 51,621 字 · 99 页

青空文庫

処によると村の青年団に依托して電燈料の集金をさせる様にして居るが、これも一つの手でこれに依って青年団の歓心を買って居る、つまり集金高に依って青年団の方へいくらかのコンミッションを出す、そうなると青年団も料金の高下よりは集金高の増減に関心を持つという段取りになる。

百姓弥之助は電燈会社の沿革などはよく知らないが、目下はこの地方は東電の独専になって居る、そうしてこの独占会社が従来政党とどういう腐れ縁があり、その台所や地盤関係にどんな魔力がひそんで居るかという事は一向知らないけれど、地方のそれぞれの首振りや小財閥とこの独占会社とがガッチリ結んで居る事は直接にひたひたと体験が出来るのである。これは一旦都会生活に慣らされた者でないと充分に解るまい、田舎の者は電燈会社はそういうものだと心得ている、同じ電燈会社でも都会に於てはそれ程譲歩しながら田舎に於ては斯うもきつい、無知な農民はそれに対して主張する事を知らない、電力が国営になったからとてそう急に豊富低廉なる電力を人民が享受し得られるものか如何か、よしそれが享受し得られる計算になっているとしても今日は非常時であって、文句がつけられまいけれど、こういう独占会社に持たせて置いて、いろいろの地方閥とからみ合うに任せて置くよりは国家の手に任せて置く方が名分共に正しいと云う