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ひゃくあしちがい
百足ちがい
山本 周五郎
「キング」大日本雄辯會講談社、1950(昭和25)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,491 字 · 56 页
こういう定評があり、しかも現に幾多の実績を持っている。というのは、つづめていえば「参」つなぎの処世法によるのであって、ここにおいて又四郎としては或る程度の疑惧をもたざるを得なくなった。そこで太虚寺の雪海和尚を訊ねて、その点を敲いてみた。……和尚はすでに八十八歳になっていたが、ますます健康で、日に二升の酒を飲み、冬は猪鹿の類、夏は鯉鰻を欠かさず喰べ、相変らず方丈に寝そべって、肱枕をしながら酒臭い息を吐いていた。
「あれほどおらが教えたによ、もうそんねなこといって来るようじゃしょあんめえじゃあ」和尚はこういってげっぷをした、「それがへえじたばたのせかせかちゅうこんだ、みんなが出世する、……したかあするがいいだ、なに構うべえ、みんなはみんな、おめえはおめえよ、……人それぞれ世はさまざま、宰相もいれば駕舁きもいるだあ、桜の枝に夕顔は……それはまあ蔓を絡ませれば咲くだあけれど、梅の枝にゃへえ桃は咲かねえもんだあよ」
「――ではその、そういうことでしたら、従前どおりやっていって、いいのでございますか」
「おらが証人、それでいいだともさ」それから和尚はこっちを見て、こっちの顔を珍しそうに眺めて、そうしていった、「まあなんだ、三十まじゃあがまんするだね、嫁っ子を貰うも、出世をするもよ、……おめえの顔にそう出てえるだ、これあ