轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひゃくあしちがい

百足ちがい

山本 周五郎

「キング」大日本雄辯會講談社、1950(昭和25)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,491 字 · 56 页

青空文庫

んめようという鼻声までそっくりで、又四郎は思わず同一人物かと疑ったくらいである。

右の六人がおかね嬢をとり巻き、掴みかかり、躯をぶっつけ、お互いに殴ったり頭髪をったりひっ掻いたりし、泣き、喚き、鼻声をだし、どたばたと駆けっこをし、組打ちを始めて叫び、……いやもうたくさん、もういい、又四郎は口のなかで、(どうせその騒ぎでは聞えまいとは思ったが)ともかく熟考のうえでという意味のことを述べ、おかね嬢がひきとめるのを聞きながしてその座から脱出した。

あとでわかったことであるが、嬢はあれから嫁に三度ゆき、三度とも不縁になって帰ったのだという。第一回に男の子を二人、二回めに女の子と男の双生児、三回めがあの乳を飲んだ赤児で、これは離縁してから百日ほどにしかならないということであった。

――六人の子持ち、三度離婚。

又四郎としてはなんともいいようのない感じのものであった。白粉と口紅の濃い化粧、はでな色調の着付け、むっとするほどの強い香料の匂い。そっと髪を撫でたり身を揉んだり、両方の袂で顔を包んだり、小娘のように色めいたながし眼を呉れたりする姿態。

――お信じしていましたのよ、貴方だけはお信じして、お信じ、お信じ、お信じ……。