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しんじゅとうのひみつ
真珠塔の秘密
甲賀 三郎
「新趣味」1923(大正12)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,661 字 · 16 页
私は新聞で知り得た事を、知れる限り友人に話した。折柄呼鈴が激しく鳴って、書生が二人の紳士を伴って入って来た。
「私が橋本です」友は立ち上って云った。「こちらは私の友人の岡田君です」
「申し遅れまして」と五十恰好の赤顔にでっぷりと肥った紳士は丁寧に礼をしながら、「私は下村でございます」
「私は佐瀬でございます」三十を少し越したかと思われる頭髪を綺麗に別けた、色白の背の高い紳士は云った。友は椅子をすすめながら、
「どうも暑くなりまして。……して御要件は」
「それがその、ええちと他聞を憚る事でございまして」商会主は汗を拭きながら云った。
「その点は御心配に及びません。岡田君はいつも私と一緒に働いて呉れる人で、私同様と御思い下さって差支えありません」
「さようでございますか」と商会主は漸く落ち着いて、「実は何でございます。今回私共が×××省御主催の展覧会に出品いたして居りまする真珠塔につきまして、誠に不思議な事が起りましたので、早速警視庁へ御相談に来りました所、あちらではそう云う事は却って貴君に御願い申すがよかろうと云う事で、甚だ御迷惑ながら御依頼に上った次第でございます。