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たんかのしけい
短歌の詩形
寺田 寅彦
「勁草」1933(昭和8)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,831 字 · 6 页
五七五七七という音数律そのままのものは勿論現在では日本特有のものであろうが、この詩形の遠い先祖となるべきものが必ず何処かにあったであろうと想像し、その同じ先祖から出た他の家族が何処かにありはしなかったかと想像するのはそれほど唐突な空想とは思われない。
『古事記』に現われた色々の歌謡の音数排列を調べてみるとかなり複雑なものがあって到底容易には簡単な方則を見つけるわけに行かない。九、十、十一、十二、十四等の音から成る詩句が色々に重畳しているというだけしか分りかねる。ただこういうものからだんだんに現在の短歌型式が発生して来たであろうということは、これらの詩の中で五および七の音数から成るものが著しく多数であることから想像される。しかしこれも本当の統計的研究をした上でなければ確かな事は云われない。今ここで問題にしようというのは、『古事記』の中の古い歌謡から現在の短歌への進化の経路を追跡しようというのではなくて、反対にこれらの古い歌謡と先祖を同じくする遠い親類のようなものが何処か大陸にありはしないかということである。
こういう問題に対して自分は到底喙を容れる資格のないものであるが、ただ手近な貧しい材料だけについて少しばかり考えてみる。