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いしだんにてっかん
石段に鉄管
小川 未明
「文芸戦線」1924(大正13)年12月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,584 字 · 6 页
ずっと町の方まで、ところどころこうして置かれてあるからでした。
「ここで、休んでいこう。」と、母親は、くりかえしていいました。
彼女は、明るい場所で休むと、まただれかにしかられはしないかという不安があったからです。そして、この母親の心持ちを年上の子供だけは、悟ることができるのでした。
「ああ、ここで休んでいこうね。」と、年上のほうの子供は、いって、母と並んで、冷たい鉄管に疲れた体をもたせかけて、なおもはい上がって腰かけようとしていました。
年下の弟は、町の方にきらきら輝く灯をながめていましたが、
「こんなところは、いやだ。もっと明るい方へいって休もうよ……。暗くて、いやだ。」といいました。
「そんなこといわんで、ここへきて、ちっとばかし休みな。」と、母親は、諭すようにいいました。けれど、弟は、明るい方ばかし見ていて、母親のいうことを聞きませんでした。
「明るい方へいって、休もうよ……。」
母親が返事をしなかったので、
「町の方へいってから、休もうよ……。暗いとこはいやだ。明るい方へいって、休もうよ。」と、小さな子供は、体をもだえていいつづけました。
「明るいところへいって休むと、また、しかられるぞ。