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ガラスをやぶるもの
硝子を破る者
中谷 宇吉郎
「朝日評論」1946(昭和21)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,761 字 · 14 页
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それに類似の現象は、農業と天候との間の関係にも見られる。農業を支配する最大の要素は天候であって、品種とか肥料とかいうものも勿論大切であるが、天候の影響の方が圧倒的に重要な役割を占めている。ところが従来の農業では、その一番大切な要素である天候に対しては、無条件に屈伏していた傾きがある。
天候は勿論人間の力では左右し得ないものである。しかしそれが農業に及ぼす影響を分析してみると、その中には制御可能な地上条件を通じて影響している要素がかなりあるように思われる。例えば春さき雪がなかなか融けないために作付が遅れるとか、寒国地方で水田の水温が低いために冷害の厄を蒙るとかいうような問題は、もちろん天候に起因しているのであるが、機巧を見れば、それは或る程度まで科学の力で制御し得る要素を通じて作用しているのである。従ってそういう意味では、科学の力によって或る程度まで天候を克服し得ると言っても差支えないであろう。
それと全く同じようなことが、今度の場合にもありそうである。もっともこういう類推は、厳密に言えば譬喩であって、何も傍証的な意味があるわけではない。しかし今日われわれが「戦争に敗けたんだから仕方がないや」