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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
なる程そういうものかなとは思うのであるが、之を合理的に反駁した憲法権威者の説をまだ聴いていないから、吾々素人は今の処判断しかねる。軍令部の機能が最近変更されたというような噂を耳にするから、多分海軍側にはこの点に就いて輿論が納得出来るような解明が用意されていることと信じる外に道はない。
若槻総裁の演説は、初めは脱兎の如く終りは処女のようであったが、所謂五相会議は之に反して初めから黙々とした会合であった。五相の間に対立があったとか、その対立が止揚されたとか云った、禅機に充ち充ちた弁証法的過程の揚句に、公表された処は、「五相会議に於いては外交、国防、財政の調整の根本に関して隔意なき意見の交換を遂げたる結果相互の諒解を深めその大綱に関し意見の一致を見たり」という六十五字である。主として対ソヴィエト・対アメリカの外交政策が問題になったらしく、新聞には色々と書いてあるが、結局の処吾々に判る処は、何か無理に抽象的な報道だけだから、今の六十五字の方が却って五相会議の発表された限りの真髄に当るわけである。
民政党はこの時に当って、一寸異様な要求を政府に提出している。