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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

のおかげで、吾々は五・一五事件が益々判らなくなって来た。懐疑論や不可知論が昂進して来ると、一種の妖怪談になってくる。お互い様に薄気味悪くなるのである。

二、文部大臣の権威

国際競争に限らず、勝負は機会均等でなければならぬ。二回戦で二対〇の勝利率のものでも三回戦では三対〇とも二対一ともなることが出来るのだから、三対〇をも二対一をも二対〇だと云って片づけて了うのは不合理である。六大学リーグ戦も今年から一様に三回戦までやることになったそうであるが、それは数学的に非常に慶賀すべきことである。新進の秀才文部大臣の何よりもの歴史的大功績があるとすれば恐らく之だろう。多分この点は又、日本中の有識者が斉しく認める処だろう。

だが文部大臣たる以上、たかがスポーツの問題などに跼蹐してはいられない。私は先月の本欄で、文部省が内務省などに引き廻され気味で、わずかにスポーツ干渉を以て憂さを晴らしているのを、文部大臣のためにお気の毒だと云ったのだが、今は文部大臣の名誉のために、之は失言として撤回する。文部大臣は内務省などから引き廻されるどころではない、わが文部大臣は、内務省に命じて、滝川教授の著書『刑法読本』