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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

処で、そこからこの三位一体の三体問題解決の特有な困難が生じて来る。なぜと云うに、まず第一に何よりも軍事上の宝庫だということが先であって、その植民地的な価値や外交対象としての価値は二の次であり、植民地や市場、資本投下地、其他のものとしてよりも、軍事的地盤としての資格が絶大なのだから、外務省や拓務省腹案に較べて、陸軍省の理想案が最も正直な所であって、関東軍司令部を以て最后の在満統一機関とする理想が、他の見地から見て幾多の政治的外交的経済的困難があるにも拘らず、軍事的に云えば最も当然な建前なのである。特にわざわざ戦時的な軍司令部を選んで之を「平時化」し「平常化」す必要のある所以が之だ。外務省案乃至恐らくは現地案は、この軍事上の裸体の要求に、政治的な被服を被せたものに過ぎない。

だが、戦時的な軍令部をなぜ一般に平時化す必要があるのか。軍事上の必要から云えば戦時的な形態で良さそうなものを、なぜ今更之を平時化さなくてはならないか。併し「軍事上」必要になる独特の「政治」というものもあるのだ、戦時的なものだけで軍事的なものは満足出来ない。丁度軍人が独特な「政治」