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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

例はまだまだいくらでも挙げられるだろう。

農村の復興(尤もそういう言葉はあまり使われないようだ、稲がへし折られるのは、打ち見た処家が潰れる程に壮観ではないから、復興という言葉はあまりピンと来ないかも知れぬ)の方は之に反して一般の農村対策の内に嵌め込まれる。旱・水・冷・繭安・害により農民の窮迫は云うまでもなくこの風水害によって愈々決定的になった。農村の被害は総額八億円の損失と見積られているが、その内二億五千万円はこの風水害によるもので、他の要因に較べれば風水害による打撃は比較にならぬ程大きい。だが農村の被害に対しては「復興」どころの問題ではなく、もっと絶望的な「対策」が必要なので、農村の風水害問題はこの一般的な農村問題に吸収されて了っているのである。――で復興されるべきものとして残るのは矢張中小商工業だけとなる。尤も中小商工業が復興の特典を与えられるという場合には、口を利くものは実は大商工業夫子自らなのだが。

処でこの農村対策というものも亦、実は矢張金融問題に過ぎないのだ。そして貧農民は他ならぬこの農村低金利資金のおかげで、×××××られたり××××になったりしているのである。