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かみサマをうんだひとびと

神サマを生んだ人々

坂口 安吾

「キング 第二九巻第一一号」1953(昭和28)年9月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,108 字 · 27 页

青空文庫

安福軒は宿屋の客引きのように自信マンマンと説明した。そこで川野水太郎も同行することになったのである。

神サマの実力

むかしさる富豪の別荘だった大邸宅が阿二羅教の本部になっていた。

母屋の方では階下も二階も信者でごったがえしていたが、裏の離れは特別の幹部以外は立入ることができず、真昼というのに無気味なほどヒッソリしていた。

この入口までくると、もう安福軒すらも立ち入ることができない。他の幹部が代って二人を中へみちびいてくれる。

「じゃアお帰りに待ってますぜ」

そう呟くと、安福軒はあとは素知らぬ顔、にわかに生マジメに合掌瞑目、奥なる教祖に礼拝をささげて引返した。

まず書院で、管長に会う。リュウとしたギャバジンの洋服のオモカゲどこへやら。頭を青々とクリクリ坊主にまるめ、略式の法衣のような特別なものを着ている。むしろこの方がどれぐらい呉服屋の手代らしいか分らないほどだ。手代らしからぬのは、たぶん高価なものに相違ない香水の匂いが彼の身にたちこめていることであった。

「ずいぶんいい匂いですね。なんの匂いですか」

と川野がフシギそうに訊ねると、管長はいと気楽にニコニコと答えた。