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かみサマをうんだひとびと

神サマを生んだ人々

坂口 安吾

「キング 第二九巻第一一号」1953(昭和28)年9月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,108 字 · 27 页

青空文庫

花代として芸者の三倍もの値がついている。チップもヌカリがない。

「ここに朝食とあるが、朝食は食べずに帰るから」

「朝食は宿泊のオキマリでして、召上らないと、御損ですよ」

「二人前とあるが、安福軒の朝食も私がもつ必要があるのかい」

「それは、あなた、芸者衆の朝食ですよ。これも遊びのオキマリですから。いかが? 一本おつけ致しましょうか」

「バカにするな」

「これにこりずに、またどうぞ」

大巻先生ホウホウのていでこの閑静な旅館からとびだしたのである。

左巻き教祖

それから一年すぎた。ある日、東京芝の大巻先生の病院へ、安福軒が例の婦人をつれてきた。

「どうも、先生に泊っていただいて、それから間もなく精神病らしいんですがね。どこか精神病院へお世話願えませんか」

というのである。

仕方がないから、一応女を診察室へ呼び入れて様子を見ると、なるほど普通じゃない。人間どもがみんなバカに見えるらしいのである。

「何ですか。お前は偉そうな顔をして。私がジッと睨んでやると、お前なんか、ほら、たちまち掌の上の小人のように小ッちゃくなるんだから」

女は大巻先生を変に色ッぽく睨みつけて、カラカラと高笑いした。