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まつりのよる
祭りの夜
豊島 与志雄
「日本小説」1948(昭和23)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,781 字 · 20 页
」
炬燵布団に顔を伏せていると、頭の中がふらふらして、それからじいんと沈んでゆく。その淵から飛びあがるようにして、顔を挙げ、微笑んで、また飲んだ……。
とろとろと眠っただけの気持ちで、私は眼を開いた。まるで見馴れぬ室なので、はっきり眼がさめた。電気雪洞の二ワットの淡い灯が、ぼんやりともっている。神代杉の天井、欄間や床の間、掛軸に活花……。枕頭に水差と煙草盆があったので、水を飲み、煙草を一吸いした。それから着物を着代えた。それまでははっきりしてるのだが、それから先は昨夜のことと混乱してしまうのである。
つぎはぎだらけの粗末極まる私の襯衣がきちんとたたまれて乱籠にはいっているのに、私はたまらなく惨めな気持ちがした。彼女に連れて来られて、着物をぬがせられるのにちょっと逆らったようだが、ぬいだ襯衣類を彼女が丁寧にたたもうとするのを、私は引ったくって投げやったことを、はっきり覚えている。それでも彼女は、一々たたんでしまったのだ。もし私が立派な襯衣をつけていたら、その好意を安んじて受けたろう。――そのあと、彼女は長襦袢姿で、私のそばにすべりこんできた。
いつのまに、どこへ、彼女は行ったのだろう。