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まつりのよる

祭りの夜

豊島 与志雄

「日本小説」1948(昭和23)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,781 字 · 20 页

青空文庫

「まあ、お礼だなんて……二日酔いのせいじゃありませんの。」

「お礼はお礼です。もう酔ってやしませんよ。」

私はもはや惨めな思いはしなかったが、負けだという気がした。少しも皮肉にならなかったのだ。

政代は黙っていたが、なにかしきりに目配せしてるようだった。お留さんが台所へ立って行ったすきに、縁側にでてきた。

「なにか怒ってるの。」

「怒ってなんかいません。」

「でも……。」

「なまけたのを後悔してるだけです。」

「そう。御免なさい。」

素直に言われると、これも私の方が負けだ。だが、後悔という咄嗟の言葉は真実だった。身体のことではない。精神がなまけていたのだ。

私は煙草をふかしながら、自分の室へ戻って行った。