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ふくざわゆきち

福沢諭吉

高山 毅

ペンは剣よりも強し

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 54,555 字 · 109 页

青空文庫

それは「解体新書」といって、日本のあたらしい医学にたいへん役だちました。

そのことをきいた諭吉は、ふかいかんげきをおぼえ、

「よしっ、この塾を、江戸でいちばんりっぱな蘭学塾にしてみせるぞ。」

とはりきりました。

それにつけても、江戸の蘭学者たちの力はどれほどのものであろうか、それをしっておきたいとおもいました。

ある日、島村鼎甫という蘭学者をたずねてみました。島村はやはり緒方先生のところでまなんだことのある医者で、江戸にきて、オランダの本のほんやくなどをしているのでした。ですから、二人はすぐしたしくなりましたが、このとき、島村は、生理学(生物のからだのはたらきを研究する学問)の原書をほんやくしているところで、その本をもってきて、

「ここのところが、どうもわからなくてよわっていたところだ。きみ、ひとつ、やってみてくれないか。」

といいました。諭吉がよんでみますと、なるほどやくしにくいところでした。

「ほかの人にも、そうだんしてみましたか。」

「ええ、もう、友だち五、六人にはなしてみたんだが、どうしてもわからないというんだ。」

そこで諭吉は、三十分ばかりかんがえているうちに、ちゃんとわかってきたので、島村にせつめいしてやりますと、